これまでの記事では、公務員が投資をしても大丈夫な理由や、副業禁止との違いを整理しました。
さらに、NISAやiDeCoといった制度を活用するのが基本であることも確認しました。
では、そのNISAやiDeCoで「実際に何を買うべきか?」――その答えとなるのが、今回取り上げる インデックス投資 です。
インデックス投資とは?
インデックス投資とは、株式市場全体の動きを示す「指数(インデックス)」に連動する成果を目指す投資手法です。
例えば、
- S&P500(米国を代表する500社の平均)
- 全世界株式(オール・カントリー)(先進国+新興国を広くカバー)
- TOPIXや日経225(日本株全体を対象)
こうした「指数」に合わせて運用されるファンドを買うことで、市場全体に分散投資できる仕組みです。
イメージとしては、「銘柄の詰め合わせパック」を買うようなもの。
個別の株を1社ずつ選ぶのではなく、あるテーマ(例:米国500社、日本全体、世界中の株式)に沿ってまとめて購入できます。
そして、その「中身の入れ替え」や「売買のルール」は投資会社が自動的に行ってくれるため、私たちが個別銘柄の研究をする必要はありません。
つまり、プロが決めたルールに沿って機械的に運用される仕組みであり、これを パッシブ運用 と呼びます。
この仕組みによって、
- 手間をかけずに幅広く分散投資できる
- 運用コストが低い
- 長期で「市場平均」と同じ成長を享受できる
というメリットがあります。
公務員にインデックス投資が向いている3つの理由
1. 安定収入との相性が良い
公務員は給与やボーナスが景気に左右されにくく、毎月安定した収入を得られます。
この安定収入こそ、インデックス投資の最大の武器です。
投資で一番大切なのは「継続」。
相場が下がっても積立を継続できることで、長期的にリターンを得る確率が高まります。
ドルコスト平均法によって高い時も安い時も淡々と買い続けられるのは、公務員ならではの強みです。
2. 手間がかからず副業規制にも抵触しない
インデックス投資は「買って放置する」が基本です。
日々の相場を追いかけたり、決算資料を読み込んだりする必要はありません。
公務員は勤務時間が決まっていたり、繁忙期があることで、専門知識に時間を割きにくい立場。
だからこそ、ほぼ自動で運用できる仕組みがぴったりです。
また、公務員は副業が制限されていますが、インデックス投資はあくまで「資産運用」であり副業ではありません。
人事院の規定でも認められており、安心して続けられます。
3. 老後資金づくりに最適
共済年金や退職金があるとはいえ、長寿化やインフレを考えると将来の生活費をすべてカバーできるとは限りません。
インデックス投資は20〜30年の長期投資でこそ威力を発揮します。
退職金や年金に加えて「第三の柱」となることで、老後の不安を大幅に減らせます。
さらに、NISAやiDeCoを組み合わせれば税制優遇もあり、効率的に資産を増やすことができます。
- NISA:運用益が非課税
- iDeCo:掛金が所得控除になり、節税しながら老後資金を準備
インデックス投資、具体的に何を買えばいい?
インデックス投資といっても、実際にはさまざまな選択肢があります。
代表的なものを整理すると以下の通りです。
1. 全世界株式(オルカン)
- 特徴:世界中の先進国+新興国の株式に丸ごと投資できる
- メリット:国や地域の成長に偏らず、世界経済全体の成長を取り込める
- 代表ファンド:eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)、SBI・全世界株式インデックス
2. 米国株式(S&P500)
- 特徴:米国を代表する500社(Apple、Microsoft、Amazonなど)に分散投資
- メリット:米国は世界最大の経済規模とイノベーション力があり、過去30年で年平均約10%のリターン
- 代表ファンド:eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)、SBI・V・S&P500
3. 日本株式(TOPIX・日経225)
- 特徴:日本企業に分散投資
- メリット:円建て資産なので為替リスクなし。生活基盤が日本円の公務員にとっては一部保有しておく安心感はある
- 代表ファンド:TOPIX連動型投信、日経225連動型投信
4. 債券インデックス
- 特徴:国内外の債券に投資
- メリット:値動きが安定。株価が大きく下落したときに資産を守る役割
- 代表ファンド:eMAXIS Slim 先進国債券インデックスなど
5. バランス型(株+債券の詰め合わせ)
- 特徴:株式と債券をあらかじめ組み合わせて運用
- メリット:1本で分散が効くため初心者向け。ただし、成長力は株式100%より劣る
- 代表ファンド:eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)など
公務員におすすめの結論
上記のように候補はいくつもありますが、公務員にとって長期の資産形成でメインにすべきは「オルカン」か「S&P500」です。
- オルカン:世界経済全体に投資=一番「無難」で王道
- S&P500:米国の成長に集中=リターンの期待値が高い
どちらを選んでも大きな差はなく、好みや考え方で選べば大丈夫です。
補助的に日本株や債券を少し持つのはアリですが、主力はオルカン or S&P500で問題ありません。
世間的にも確立された「インデックス投資という王道」
インデックス投資を推すのは筆者の意見だけではありません。
世界中の投資理論やデータに裏打ちされた「王道の投資法」なのです。
- チャールズ・エリス『敗者のゲーム』
- ジョン・C・ボーグル『インデックス投資は勝者のゲーム』
- バートン・マルキール『ウォール街のランダム・ウォーカー』
いずれも「プロでも市場に勝ち続けるのは難しい。だからこそ市場平均に投資せよ」と説いています。
また、日本でも人気の投資系YouTubeチャンネル 「リベ大(両学長)」 や 「バンクアカデミー」 が、初心者向けに「インデックス投資をコツコツ続けるのが最適」と繰り返し発信しています
さらに、金融庁も「長期・積立・分散」を公式に掲げており、国や専門家も同じ方向を示しています。
つまり、インデックス投資は
- 世界的な理論と名著
- 日本の有名な発信者
- 公的機関の推奨
これらすべてが後押しする、もっとも再現性の高い投資法なのです。
若い公務員ならFIREも視野に
インデックス投資は老後資金づくりに強い味方ですが、若いうちから積み立てを始めればFIRE(経済的自立と早期リタイア)の可能性も広がります。
20代から毎月数万円を積み立てれば、30〜40年後には数千万円〜1億円規模の資産形成も現実的です。
公務員は収入が安定しているため、長期の積立を中断せず続けられるという点で有利です。
FIREを目指すかどうかは人それぞれですが、選択肢を持てること自体が人生の自由度を高めてくれます。
まとめ
インデックス投資は、公務員の資産形成に非常に適しています。
- 安定収入に支えられ、積立投資を継続できる
- 手間がかからず、副業規制も心配ない
- 老後資金の「第三の柱」となる
- 若い人ならFIREという選択肢も広がる
そして、全世界株式(オルカン)や米国株式(S&P500)といった王道インデックスを選べば、成長性と分散性を同時に享受できます。
世界的な理論・専門家・データが裏付ける「投資の王道」だからこそ、公務員でも安心して取り組めるのです。
まずはNISAやiDeCoと組み合わせて、長期・積立・分散を実践してみてください。
インデックス投資は、老後の安心だけでなく、人生の自由度を広げる強力な手段となるはずです。

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