公務員の退職金の考え方|2000万円の資金を守ってくれる安心な投資戦略

公務員の退職金はどう使う?一括投資と分割投資の考え方

本記事は一般的な情報提供であり、特定商品の推奨ではありません

公務員の退職金は、定年まで勤め上げれば2,000万円前後になるケースが一般的です。

ただし「受け取ったらすぐ投資」ではなく、まずは使い道の設計→投資の選択肢→投資タイミング(“一括 or 分割”)という順番で考えるのが安全です。

この記事では一次情報の根拠データを示しつつ、実務的な手順で整理します。

なお、「公務員は投資して大丈夫?」という法律面の不安は、 公務員は投資して大丈夫?副業禁止との違いを徹底解説 で整理しています。

目次

公務員の退職金はどのくらい?(根拠データ)

公務員の退職金は、いまでも老後資金の柱となる大きな金額です。

実際の平均額を見てみましょう。

国家公務員では、内閣官房内閣人事局の「退職手当の支給状況(令和5年度)」によると、

定年退職者の平均支給額は 約2,147万円

地方公務員は、総務省「地方公務員給与実態調査(令和5年)」の第15表「団体区分別、職員区分別、退職事由別、年齢別退職者数及び退職手当額」によれば、

都道府県・政令市などで おおむね2,100万円台 が中心です。

たとえば「都道府県職員全体の平均」は 約2,197万円 となっています。

退職金の算定は「俸給月額 × 勤続年数に応じた支給割合 + 調整額」が基本。

定年まで勤め上げた公務員であれば、2,000万円前後が一つの目安といえます。

まずは「使い道」を決める(投資はその次)

退職金は、これからの人生を支える大切な“土台”です。

いきなり全額を投資に回すのではなく、まずはどう使うかを落ち着いて整理しましょう。

最初に考えたいのは、生活の安心を確保することです。

生活費の1〜2年分は、いつでも引き出せる現預金として手元に残しておくと安心です。

そのうえで、住宅の修繕やリフォーム、車の買い替え、医療・介護の備え、旅行や趣味、学び直し、子や孫への援助など、近い将来に必要になる支出を見積もっておきましょう。

また、住宅ローンなどの借入がある場合は、金利水準と手元資金のバランスを見ながら繰上げ返済を検討するのも一つの選択です。

高金利のローンほど、早めに返すメリットが大きくなります。

こうして生活と将来の出費を整理したうえで残るお金が、はじめて投資に回せる余力資金です。

迷ったときは、焦って投資するよりも「守り」を優先しておく方が結果的に安心です。

投資の選択肢(退職後の目的別に選ぶ)

退職金を投資に回すといっても、目的や性格によって向いている方法は異なります。

ここでは、代表的な4つの選択肢を退職後のライフスタイルに合わせて紹介します。

インデックス投資(長寿リスクに備える“土台”)

老後の長い人生に備えるなら、王道のインデックス投資が第一候補です。

世界経済全体の平均成長に連動するため、特定の企業や国に偏らず、安定したリターンを狙うことができます。

取り崩し期でも「分散」と「低コスト」が効きやすく、長期で見れば最も再現性の高い投資方法の一つです。

老後資金を長く持たせたい人には、まさに“土台”となる投資といえます。

詳しくは インデックス投資が公務員に向いている3つの理由 を参考にしてください。

高配当株投資(手元キャッシュ重視)

「配当」という定期収入を得たい人には、高配当株投資が向いています。

株価の上下はあるものの、企業から支払われる配当金が年金のような安定感をもたらしてくれます。

特に退職後は、生活費の一部を配当でまかなえる安心感が魅力です。

ただし、元本の価格変動リスクは避けられないため、配当利回りだけでなく企業の業績や財務体質も確認しておきましょう。

詳しくは 高配当株は公務員に向いている?メリット・デメリットを整理 をご覧ください。

債券・J-REITなど(値動きのマイルド化)

株式のように大きく増えるわけではありませんが、債券やJ-REIT(不動産投資信託)は値動きが比較的穏やかで、安定した収益を得やすい資産です。

どちらも公務員でも制限なく投資できるため、老後にリスクを取りすぎたくない人に向いています。

債券は価格変動が小さく、定期的な利息収入が得られるのが特徴。

J-REITも同様に、オフィスビルや商業施設などの賃料収入をもとに分配金が支払われるため、株式より穏やかな運用がしやすい投資先です。

リタイア後の資産運用では、「大きく勝つ」よりも「長く安定して受け取る」ことが大切。

その意味で、これらは若い世代よりも退職後の世代に適した投資といえます。

なお、さらに大きな利益を狙って実物不動産(アパート・マンション経営など)に踏み込む場合は、公務員としての副業規定などに注意が必要です。

詳しくは 公務員と不動産投資:どこまで可能?制限と注意点 を確認しておきましょう。

預金(無理に投資しないのも立派な選択肢)

「投資はまだ怖い」「まずは守りを優先したい」という人は、無理に投資を始める必要はありません。

退職金をいったん預金で保有し、生活設計や目標が固まってから段階的に投資へ移行しても十分です。

相場環境や自分の気持ちを冷静に見極める時間を持つことで、将来の判断ミスを防ぐことができます。

退職金の活用で大切なのは、リターンを追うことよりも、自分が安心して続けられる方法を選ぶことです。

営業の勧誘には要注意(“増えた預金”は狙われやすい)

退職金が振り込まれると、銀行や証券会社の営業、退職者向けセミナーなどでの勧誘が一気に増えます。

「特別なプラン」「退職者限定の優遇利回り」などの言葉で、高コスト・複雑・不透明な商品をすすめられるケースも少なくありません。

基本のスタンスはシンプルです。

わからない商品は買わない。
まずは自分で理解できるものだけに投資する。

もし迷ったら、預金で様子を見るのも立派な戦略です。

怪しい勧誘や不要な商品を避けたい人は、 公務員が避けるべき投資と注意したい金融商品 で詳しくまとめています。

まとめ

公務員の退職金は2,000万円前後と大きな資金です。

まずは生活費や近い将来の支出を確保し、残りを投資に回す流れが安心です。

投資先は、長期ならインデックス投資、収入重視なら高配当株、リスクを抑えたいなら債券やJ-REITも選択肢になります。

不安がある場合は、預金のままでも十分です。

退職金受領後は営業の勧誘も増える時期。

わからない商品には手を出さず、自分で理解できる範囲で運用を考えましょう

長年の努力で得た大切なお金だからこそ、焦らず、自分に合った形で守りながら活かしていくことが大切です。

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この記事を書いた人

当サイト「公務員のための資産形成ナビ」は、公務員や会社員の方が安心してお金の制度を理解し、現実的に活用できるよう情報を整理・発信しています。
扱うテーマは、NISA・iDeCo・確定申告・節税対策・社会保険・投資信託など。
金融庁・国税庁・総務省など公的機関の一次情報をもとに、制度のしくみや手続きの流れをわかりやすく紹介しています。
筆者は10年以上の投資経験を持ち、これまでに個別株やアクティブファンド、ナスダック100なども経験しながら、現在はS&P500インデックスファンドと日本株を中心に長期運用を継続中です。
「投資で無理に増やす」よりも、「制度を正しく使って減税・効率化する」ことを大切にしています。

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