確定申告後の納税を「クレジットカードで払うとポイントが貯まってお得?」と考える方は多いと思います。
手数料とカードの「税金向け還元率」を比べるだけで、結論は出せます。
本記事では、確定申告後の納税をクレジットカードで支払うべきかについて判断基準を整理します。
結論
先に判断基準だけまとめると、
・ポイント目当てだけなら、基本は口座引落(ダイレクト納付)やネットバンキングが合理的
・クレカ納付は「あなたのカードの還元率 ≥ 手数料」を満たすときだけ検討
・満たさなくても、カードの年間利用額ボーナスなど別の目的があるなら戦略的にOK
・年会費や領収証書の要否、証明書のタイムラグも含めてトータル判断
年間利用額ボーナスとは、カードの年間決済額などの条件を満たすともらえる特典(上級会員、無料宿泊、ボーナスポイント など)のことを指します。
・(参考)年○○万円利用でボーナスポイント/無料宿泊特典が付くカード
・マリオットカード:年間500万円の決済で翌年プラチナエリート など
手数料の前提
損得の分かれ目は「手数料」です。
ここを正しく押さえると判断は一気に簡単になります。
国税と地方税(eLTAX)で計算の仕組みが異なるので、まずは下の基準を確認してください。
国税(クレカ納付)
・手数料は1万円ごとに99円=実質約0.99%
・1回の手続は決済手数料を含め1,000万円未満、領収証書は発行されません
地方税(eLTAXのクレカ納付)
・最初の1万円は40円、以降1万円ごとに75円(税抜)加算(=実効0.40〜約0.75%)
損益の判断
カードの「税金・公共料金の還元率」が、納付手数料(国税≈0.99%/地方税≈0.40〜0.75%)を上回っていればクレカ払いでOK。
下回るならやらない。
これだけ覚えておけばOKです。
税金は通常の買い物より還元率が低く設定されていることが多いため、必ず“税金カテゴリの還元率”を確認しましょう。
例外として、年間利用額ボーナス(条件達成特典)など、以下のような還元以外のメリットまで含めてプラスになるなら、検討の余地ありです。
- Marriott Bonvoy アメックスのように“年間利用額ボーナス(条件達成特典)”を狙える(到達価値が手数料を上回るなら可)
- 事業主で決済手数料を経費算入でき 実効負担が下がる
- 家計管理上 クレカ集約で支出の見える化を優先したい(費用に納得できるなら可)
主要カードの“税金・公共料金”付与ルール
Marriott Bonvoy アメックス
・一般/プレミアムともに、税金(国税)は200円=1ポイント(0.5%)(上限年間300万円)
👉詳しくは、マリオットアメックス公式サイト
楽天カード
・税金・公共料金は500円=1pt(0.2%)(2021年6月〜)
👉詳しくは、楽天カード公式サイト
JALカード(ショッピングマイル・プレミアム加入時)
・100円=1マイル(約1.0%相当)
👉詳しくは、JALカード公式サイト
DC/MUFGなど汎用カード
・実勢は0.5%前後が多く、手数料に対して基本は分が悪い(各社の“税金等は減額・対象外”に要注意)
今回調べてみて、納付手数料を超えるカードはほとんどないと感じました。
クレカ以外の主な納付方法
クレジットカードを使わないときの現実的な選択肢も簡単にまとめました。
どれも手数料はゼロ〜低コストで、違いは使い勝手と証憑まわりです。
- ダイレクト納付(e-Tax連携の口座引落)
手数料なし、期日指定ができ資金繰りに便利 - インターネットバンキング(Pay-easy等)
ダイレクト納付(e-Tax連携の口座引落)
原則手数料ゼロ相当でその場で完了 - スマホアプリ納付(Pay払い)
30万円以下のとき利用可。複数回に分ける“事実上の禁止”に注意(2025年改定の運用) - コンビニ納付(QR)
少額向け。領収証書は原則発行されず、現金納付が必要な場面もある点は注意(領収証書が要る場合は金融機関・税務署窓口へ)
まとめ
税金のクレジットカード払いは、ポイント目的だけであれば基本的におすすめしません。
使うのは、カードの「税金向け還元率」が納付手数料(国税は約0.99%、地方税は約0.40〜0.75%)を上回るときだけが目安です。
年間利用額ボーナス(条件達成特典)などを含めて実質的にプラスになる場合は例外として検討してかまいません。
迷ったときはダイレクト納付やネットバンキングを第一候補にし、領収証書が必要なケースでは窓口で現金納付を選ぶと安心です。
自分にとって最適な方法で納税まで徹底できれば、節税対策として資産形成の力を一段と高められると言えます。

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