「公務員でもiDeCoって利用できるの?」
「節税効果があると聞いたけど、実際どれくらいお得なの?」
そんな疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)は、老後資金を自分で準備するための制度で、公務員も2017年から加入できるようになりました。
2024年12月の制度改正で掛金上限が引き上げられ、さらに使いやすくなっています。
掛金は大きくないですが、税制優遇が手厚く、長期的に大きな差を生む仕組みです。
この記事では、公務員がiDeCoを利用する際のメリットや注意点、そして実際の節税効果をシミュレーションで確認します。
NISAとの違いも踏まえながら、公務員にとって本当に向いている制度なのかを整理していきましょう。
iDeCoとは?
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後資金を自分で積み立てるための国の制度です。
毎月一定額を拠出し、投資信託や定期預金で運用し、60歳以降に年金または一時金として受け取ります。
最大の特徴は税制優遇で、
- 掛金が全額所得控除(払った分だけ所得税・住民税が安くなる)
- 運用益が非課税(本来20%ほどかかる税金がゼロになる)
- 受け取り時にも控除あり(退職金や年金として受け取るときも優遇がある)
という三段構えのメリットがあります。
👉詳しい制度内容は、iDeCoの実施機関である国民年金基金連合会の「iDeCo公式サイト」も参考になります。
iDeCoは副業ではない
公務員には副業禁止の規定がありますが、iDeCoは副業には該当しません。
あくまで「年金制度の一つ」であり、労働や事業による収入ではなく老後資金づくりの仕組みです。
そのため安心して利用できます。
👉詳しくは公務員は投資して大丈夫?副業禁止との違いを徹底解説でも解説しています。
公務員が拠出できる掛金(2025年10月現在)
公務員の掛金上限は、これまで月12,000円(年14.4万円)でしたが、2024年12月の制度改正により、月20,000円(年24万円)に引き上げられました。
会社員や自営業者と比べると少なめですが、安定した給与がある公務員だからこそ、長期でコツコツ積み立てる制度と相性が良いといえます。
なお、公務員は共済年金などの確定給付型年金制度に加入しているため、iDeCoに拠出できる額は「企業年金とiDeCoを合算して月5万5,000円まで」という制約もあります。
👉掛金の詳細は、厚生労働省の「確定拠出年金制度の概要」も参考になります。

公務員が拠出できるのは月2万円が上限と覚えておけばOKです
節税効果のしくみ
iDeCoの節税メリットは大きく分けて3つあります。
1. 掛金が全額所得控除
毎月の掛金がそのまま課税対象から引かれるため、その年の所得税・住民税が軽くなります。
例:年収600万円で月2万円を掛けると、年24万円が控除 → 約5万円の節税。
2. 運用益が非課税
通常なら利益に約20%の税金がかかりますが、iDeCoはゼロ。
売却時の利益を全て受け取ることができます。
長期投資で数十万円〜数百万円単位の差が期待できます。
3. 受け取り時にも控除
iDeCoは老後にお金を受け取るときに課税されます。
ただし、大きな控除が用意されているため、多くの場合は税負担を大きく感じずに済みます。
iDeCoの受け取り方は2つ(または併用)あります。
- 一時金で受け取る場合
→ 退職所得として扱われ、「退職所得控除」が適用されます。勤続年数が長いほど控除額が大きく、非課税になるケースもあります。 - 年金形式で受け取る場合
→ 公的年金と同じく雑所得扱いになりますが、「公的年金等控除」が適用されます。年金収入が一定額以下なら課税されないこともあります。 - 併用も可能
→ 一部を一時金、残りを年金形式で受け取る方法も選べます。ライフプランに応じて柔軟に設計できます。
つまり「受け取り時には税金がかかるけれど、控除のおかげで実際の負担は軽い」仕組みになっています。
節税効果のシミュレーション
掛金は全額が所得控除になるため、所得税と住民税が軽減されます。
「掛金の所得控除」による節税効果を年収別にシミュレーションすると次の通りです。(掛金24万円/年の場合)
- 年収400万円:税率15% → 年約3.6万円の節税
- 年収600万円:税率20% → 年約4.8万円の節税
- 年収800万円:税率30% → 年約7.2万円の節税
- 年収1000万円:税率33% → 年約7.9万円の節税
例えば年収600万円の人なら20年間で約96万円の節税効果、年収800万円の人なら約144万円の節税効果が見込めます。
さらに運用益も非課税で受け取れるため、複利効果が大きく働きます。
デメリットと注意点
- 60歳まで引き出せない
- 掛金上限がNISAに比べると少ない
- 退職金や共済年金と受け取り時期が重なると控除枠を食い合う
- 手数料がかかる
特に公務員は退職金が大きいため、iDeCoの一時金と重ねて受け取ると控除枠を圧迫する可能性があります。
受け取り方やタイミングの工夫が重要です。
NISAとの違いと使い分け
ここまで見てきたように、iDeCoは老後資金を効率的に準備できる強力な制度です。
ただし、途中でお金を引き出せないという制約があるため、教育費や住宅資金などの「近い将来に使うお金」には向いていません。
一方でNISAは、いつでも引き出せて使い勝手が良く、投資額の上限も大きいのが特徴です。
そのため公務員にとっては、
- まずはNISAを活用して柔軟に資産形成を行い、
- 余裕が出てきたらiDeCoで老後資金を強化する
という順番が基本戦略になります。
詳しくは公務員が投資を始めるならNISAから:制度とメリットまとめも参考にしてください。
まとめ
iDeCoは副業ではなく、公務員でも安心して利用できる国の制度です。
2024年12月の制度改正で掛金上限が月2万円に引き上げられ、節税効果は以前よりもさらに大きくなりました。
掛金は決して大きくはありませんが、
- 掛金の所得控除
- 運用益の非課税
- 受け取り時の控除
という三重の優遇により、長期的に見れば老後資金づくりの強い味方となります。
一方で「60歳まで引き出せない」という制約があるため、教育費や住宅資金といった中期的な資金にはNISAを活用するのが賢い選択です。
👉 「NISAで柔軟に資産形成し、iDeCoで老後資金を強化」
これが公務員にとって王道の戦略といえるでしょう。
退職金や年金と合わせて設計すれば、公務員にとって「老後は心配なし」と胸を張れる備えが整います。
💡 最後にワンポイント:
「老後資金は“今から準備”が大切」です。
少額でも始めることで、将来の安心感が大きく変わります。











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