公務員と不動産投資:どこまで可能?法律の制限と絶対に守るべき注意点

公務員と不動産投資:どこまで可能?制限と注意点

本記事は一般的な情報提供であり、特定商品の推奨ではありません

「公務員でも不動産投資ってできるの?」
「副業禁止って聞くけど、マンション経営はOKなの?」

そんな疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。

実は、公務員でも一定の条件を守れば、不動産投資を行うことは可能です。

むしろ、安定した収入と信用力を活かせる点で、公務員は不動産投資と相性のよい立場にあります。

一方で、「電話営業の言葉を信じて物件を買ったら大損した」「副業規定に触れて懲戒処分になった」など、注意を怠るとリスクも大きい世界です。

この記事では、

  • 公務員が不動産投資を行う際の法律上のルール
  • メリットと注意点
  • 失敗を防ぐための考え方

を整理して、公務員が安心して取り組むためのポイントをわかりやすく解説します。

目次

不動産投資とは何か──基本の理解

不動産投資とは、アパートやマンション、戸建て、土地、駐車場などの不動産を「収益を得る目的」で所有・運用することです。

主な収益の形は次の2つです。

具体的には:

  • 家賃や駐車場代などの賃料収入(インカムゲイン)
  • 購入時より高く売って利益を得る売却益(キャピタルゲイン)

多くの人は銀行からお金を借りて物件を購入し、その家賃でローンを返しながら利益を出していきます。

このように、借入(レバレッジ)を活用して投資効果を高められるのが不動産投資の特徴です。

ただし、「不動産を持てば自動的に儲かる」というわけではありません。

空室や家賃下落、修繕費、固定資産税、災害、金利上昇などのリスクが常につきまといます。

レバレッジはうまく使えば少ない資金で大きな利益を狙えますが、失敗すれば損失も拡大します。

いわば「両刃の剣」のような仕組みであることを理解しておくことが大切です。

公務員が不動産投資をするメリット・有利な点

公務員は、不動産投資において「信用力の高さ」と「安定収入」という大きな武器を持っています。

民間企業の会社員と比べても、次のような点で有利に働くことが多いです。

ローンが通りやすい

公務員は職業的に収入が安定しており、金融機関からの信頼が高いため、融資審査で有利になる傾向があります。

金利条件が良くなるケースもあり、資金調達のハードルが低いのは大きなメリットです。

返済計画が立てやすい

給与が毎月安定して入るため、キャッシュフローの予測が立てやすく、返済リスクを管理しやすい点も公務員ならでは。

長期投資と相性が良い

不動産投資は短期で利益を出すものではなく、10年単位の長期運用が基本です。

初期費用を回収するには時間がかかりますが、ローンの元金が減るほど手残りが増え、税金の優遇(減価償却など)も年単位で効いてきます。

転職や収入変動が少ない公務員は、この長期スパンの投資に向いている立場といえます。

資産分散の手段になる

株式や投資信託だけでなく、不動産を組み合わせることで、リスクを分散した安定的な資産形成が可能になります。


とはいえ、「借りやすい=儲かりやすい」わけではありません。

融資を受けるということは借金を背負うことでもあります。

この強みを生かすには、しっかりとした知識と計画が欠かせません。

公務員としての制限・ルール

公務員は「副業禁止」と聞くことが多く、不動産投資もできないと思われがちです。

しかし、実際には一定の条件を守れば可能です。

ここでは、公務員が不動産投資を行う際に押さえておくべきルールを整理します。

副業禁止の原則と例外

公務員は、職務専念義務(国家公務員法第101条、地方公務員法第35条)に基づき、営利目的の副業が原則禁止されています。

ただし、例外として「一定規模以下の不動産投資」は認められています

不動産投資が「副業」とみなされるかどうかの判断は、事業の規模と管理の実態で決まります。

一般的な目安(よく使われる基準)

人事院規則・地方公務員法・各自治体の条例等で、次のような基準・条件が提示されているのが主流です。

5棟10室ルール

戸建てなら5棟未満、マンションやアパートなら10室未満であれば、「事業的規模」とは見なされにくいとされています。

この範囲内なら、多くの自治体で「許可不要」とされるケースが多いです。

年間家賃収入 500万円未満

経費控除前の家賃収入が年間500万円を超えると、「営利目的の副業」と判断される可能性が高まります。

自分で管理しないこと(委託管理)

入居者募集や家賃回収などを自分で行うと「業務従事」と見なされるおそれがあります。

管理会社に業務を委託している場合は、あくまで「資産運用」と判断されやすくなります。

許可が必要なケースもある

上記基準を超える場合や、勤務先によっては厳しく判断されることがあります。

特に地方公務員は自治体ごとにルールが異なるため、事前に人事課・総務課に確認し、必要なら兼業許可を申請しましょう。

無許可で大規模に不動産投資を行い、「兼業」と判断された場合、懲戒処分(減給・戒告など)となるケースも実際にあります。

まとめ:公務員が守るべき基本ライン

項目目安
保有規模戸建て5棟未満/マンション10室未満
家賃収入年間500万円未満
管理方法管理会社に委託(自分で管理しない)
申請不明点があれば人事課に事前確認

不動産投資は「副業」ではなく「資産運用」の範囲であれば認められています
つまり、公務員がやってはいけないのは「不動産業者のように自ら運営・営業すること」であり、ルールを守っていれば問題ありません。

注意すべき点・落とし穴

せっかく不動産投資を始めても、注意を怠ると大きな損失につながります。

特に公務員の場合、営業トラブルや借入リスクの理解不足から失敗するケースが少なくありません。

以下のポイントは、必ず意識しておきましょう。

1. 営業電話・勧誘に要注意

電話や訪問で「今が買い時です」「絶対に儲かります」と言ってくる業者には要注意です。

もし本当に儲かる物件なら、わざわざ電話をかけて営業する必要はありません

まともな投資は“電話で売らない”。これが鉄則です。

また、「同僚を紹介すれば報酬がもらえる」などの紹介マージン型の営業も危険です。

紹介者・被紹介者の双方でトラブルになることが多く、最悪の場合、職場内で問題化することもあります。

営業を受けた際は、契約書・シミュレーション・物件調査報告書などの根拠資料を確認し、内容が不明確ならはっきりと断る勇気を持ちましょう。

“同僚やOBが勧めてるから安心”は禁物です。

2. レバレッジ・借入リスクを過小評価しない

不動産投資では銀行ローンを使うことが一般的です。

借入を使えば少ない自己資金で大きな物件を購入でき、利益を拡大できますが、同時に損失も拡大する“両刃の剣”です。

不動産価格がわずかに下がっただけでも、借入が多い場合は自己資本がほとんど残らなくなることがあります。

たとえば、物件価格が10%下がれば、自己資金がほぼ消えてしまうようなケースも珍しくありません。

さらに、金利上昇や空室の増加、修繕費の急増などが重なると、キャッシュが足りず返済が苦しくなるリスクも。

借入は「使いこなせば武器、過信すれば凶器」と心得ましょう。

3. 購入前調査(デューデリジェンス)が不可欠

「利回りが高い」「都心で人気」などの言葉だけで判断してはいけません。

購入前には、以下のような項目を自分の目で確認することが大切です。

  • 立地・周辺環境・将来の開発計画
  • 建物の構造・耐震性・設備・築年数
  • 修繕履歴や今後の修繕見込み
  • 賃料相場と空室リスク
  • 固定資産税や用途地域などの法規制
  • ローン返済のシミュレーション(最悪ケースも含めて)

必ず現地を歩き、役所で都市計画を確認するなど、自分で調べる姿勢が欠かせません。

4. 流動性の低さ

不動産は株のようにすぐに売れません。

市場が冷え込んでいる時期は買い手がつかず、値下げしないと売れないこともあります。

「いざという時に現金化できない」というリスクを理解しておきましょう。

5. 管理コストとリスクの継続性

購入後も、修繕・保険・管理費・空室対応などのコストが継続的に発生します。

特に古い物件ほど維持費が高く、想定より利益が減るケースも多いです。

また、地震・火災・水害・法改正など、外的リスクへの備えも重要です。

投資を始めるなら:まずはREIT・不動産株から

不動産投資に興味があるものの、「いきなりローンを組んで物件を買うのは不安」という方には、REIT(不動産投資信託)や不動産関連株から始める方法がおすすめです。

REIT(リート)

REITとは、投資家から集めた資金でオフィスビルや商業施設などを運用し、その賃料収入を分配金として受け取れる仕組みのことです。

  • 証券口座があれば数万円から投資可能
  • 株式のようにいつでも売買でき、流動性が高い
  • プロが複数物件に分散投資してくれる

つまり、「手軽に不動産投資の仕組みを学べる入門編」として最適です。

不動産関連株(上場企業への投資)

不動産市場に関わる企業の株を保有する方法もあります。

たとえば、住宅建設・開発を手がける積水ハウス、大和ハウス工業、三井不動産、三菱地所などが代表的です。

  • 少額から始められ、株主優待や配当を受け取れる
  • 業績が安定している企業が多く、長期投資にも向く
  • 物件を所有せず、不動産市場の動きを学べる

特に配当利回りが高めの企業を選べば、実物投資に近い「安定収入」を得る練習にもなります。

不動産クラウドファンディング(参考までに)

最近は、インターネット上で少額から不動産プロジェクトに投資できるクラウドファンディング型も増えています。

ただし、案件の質にばらつきが大きく、元本保証もありません。

あくまで“経験を積むための参考レベル”として考え、メイン投資にはしない方が安心です。

不動産投資を始めるなら、まずはREITや不動産関連株で仕組みを理解し、
少額・分散・流動性の高い投資からステップアップするのが安全な道です。

まとめ:公務員が不動産投資で気をつけるべきこと

公務員でも、不動産投資はルールを守れば可能です。

安定収入と信用力を活かせる一方で、借入や営業トラブルのリスクもあります。

失敗しないためのポイントはこの5つです。

  • ルールを守る(5棟10室・年500万円・委託管理など)
  • 営業トークを信じず、自分で調べる
  • 借りすぎない・リスクを想定する
  • REITや不動産株から少額で経験を積む
  • 契約内容は必ず書面で確認する

不動産投資は「早く儲けるもの」ではなく、知識と準備で守りながら育てていく資産形成です。

💬 焦らず・借りすぎず・調べてから。これが公務員の不動産投資の鉄則です。

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この記事を書いた人

当サイト「公務員のための資産形成ナビ」は、公務員や会社員の方が安心してお金の制度を理解し、現実的に活用できるよう情報を整理・発信しています。
扱うテーマは、NISA・iDeCo・確定申告・節税対策・社会保険・投資信託など。
金融庁・国税庁・総務省など公的機関の一次情報をもとに、制度のしくみや手続きの流れをわかりやすく紹介しています。
筆者は10年以上の投資経験を持ち、これまでに個別株やアクティブファンド、ナスダック100なども経験しながら、現在はS&P500インデックスファンドと日本株を中心に長期運用を継続中です。
「投資で無理に増やす」よりも、「制度を正しく使って減税・効率化する」ことを大切にしています。

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