給与から税金がどう差し引かれ、どの場面で自分が手続きをすべきかは、最初に必ずつまずくポイントです。
この基礎編では、実務手順には踏み込まず、「誰が」「いつ」「何をするのか」という仕組みをわかりやすく整理しました。
資産形成の土台として、まずは税金の流れをイメージできるようにしておきましょう。
税金はどうやって引かれているのか
毎月の給与や賞与からは、職場が所得税をあらかじめ差し引きます。
これが源泉徴収です。
そのうえで年末に一年分をまとめて計算し直して、払い過ぎや不足を清算します。
これが年末調整です。
ただし、年末調整の対象外になる控除や、給与以外の収入があるときは、自分で申告して最終確定させます。
これが確定申告です。
源泉徴収とは
源泉徴収は、職場が毎月の給与支給時に概算の所得税を天引きする仕組みです。
一年の終わりに必ず誤差が出るため、あとで年末調整で精算する前提の“仮払い”と考えると理解しやすくなります。
年に一度交付される源泉徴収票には、総支給額、各種控除、源泉徴収税額などがまとまって記載されます。
年末調整とは
年末調整は、一年分の所得と控除を職場が取りまとめ、源泉徴収で発生した過不足を清算する手続きです。
必要な控除証明書を提出すれば、反映漏れが解消され、払い過ぎた税金が戻ることもあります。
公務員(給与をもらう側)にとっては「証明書を揃えて提出する」ことが役割の中心です。
年末調整でよく提出する控除(公務員の定番)
・生命保険料控除(一般・個人年金)と介護医療保険料控除
・地震保険料控除
・iDeCoの小規模企業共済等掛金控除(払込証明書を添付)
・住宅ローン控除の二年目以降(初年度は確定申告が必要)
・扶養控除の異動(配偶者・子・親など)
年末調整で起きがちなミス(あとで取り戻せます)
・控除証明書の出し忘れや提出期限オーバー
・契約者名義が自分でなく控除不可になっていた
・iDeCoの証明書を年末に間に合わず提出できなかった
👉いずれも確定申告で還付を受けて挽回できます(還付申告は原則5年内)
確定申告とは
確定申告は、年末調整だけでは処理しきれない控除や、給与以外の所得を自分で申告し、税額を最終確定させる仕組みです。
必須ではありませんが、やると得になる場面が少なくありません。
公務員が確定申告をする主なケース(代表例)
・ふるさと納税の寄付先が六自治体以上、またはワンストップ特例を使わなかったとき
・世帯の医療費が年間で一定額を超え、医療費控除の対象になったとき
・年末調整で出し忘れた控除があり、還付で取り戻したいとき(iDeCo・保険料・扶養など)
・住宅ローン控除の初年度
・副業や講演・原稿料などの雑所得、または特定口座(源泉徴収なし)で投資益が出たとき
三つの関係のまとめ
毎月の給与 ─→ 源泉徴収(職場が概算で天引き)
↓
年末(12月) ─→ 年末調整(職場が一年分を再計算・控除反映・還付)
↓
翌年2〜3月 ─→ 確定申告(自分で年末調整外の控除・所得を最終確定)
つまり、源泉徴収と年末調整が職場が担当し、確定申告だけは自分で行います。
実施のタイミングは、毎月の給与時→年末→翌年2〜3月となります。

年末調整の控除に必要な書類は契約先から自宅に届くため、忘れずに提出しましょう
iDeCo・NISA・ふるさと納税はどこで関係するのか
iDeCoは掛金が所得控除になり、年末調整で反映できます。提出しそびれても、確定申告で取り戻せます。
NISAはそもそも非課税枠の制度で、利益や配当に税金がかからないため、基本的に申告自体が不要です。
ふるさと納税は寄附金控除で、ワンストップ特例を使えば確定申告は不要ですが、使えない条件に当てはまる場合は確定申告で申請します。
まとめ:税金の仕組みを理解することが資産形成の第一歩
資産形成は、収入を増やすだけでなく、控除を正しく使って税負担を抑えることでも前に進みます。
若いうちから年末調整と確定申告の役割を押さえておけば、iDeCo・NISA・ふるさと納税を迷いなく活用でき、毎年のルーティンが将来の資産を押し上げる力になります。
公務員の税金処理は原則、源泉徴収と年末調整で自動的に完結しますが、年末調整の対象外の控除や給与以外の収入がある場合は、確定申告で最終確定が必要です。
iDeCo・NISA・ふるさと納税の位置づけを理解すれば、節税と投資が一本の線でつながり、使う制度の優先順位も見えやすくなります。
続く[活用編]では、どんなときに確定申告が必要・有利になるのかを整理し、控除を取りこぼさない考え方をまとめます。







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